プロの論理力
自分でコントロールできること、できないことを区別する
私が本書で言う「論理力」とは、理屈で押し切れる事柄、理屈を通すのが可能な事柄、すなわち「論理力でコントロールできること」をきちんと峻別することから始まる。
そして、「論理力ではコントロールできないこと」に対応しながら、「論理力でコントロールできること」について論理力を集中的に注力することで、成果が上がるようになるのだ。そのような論理力の使い分けも含めた、トータルの「論理力」が重要なのである。
「論理的交渉」で心がけるべき三つの基本的ポイント
まず第一に、情報を収集して全体の状況をできるだけ正確にかつ広範に把握すること。これをしっかりやっておかないと、そもそも自分が有利なのか不利なのかもよくわからない。
第二に、把握した状況を踏まえて、交渉の「ゴール」を設定すること。ここで「野心」の大きさが問われるわけだが、だからといって闇雲に目標を高くあげすぎてもいけない。
第三に、自分でコントロールできることとコントロールできないことをきちんと峻別し、自分でコントロールできる要素があったら、そこに全力を注ぐこと。特に自分の側にリスクがある時は、それを可能な限り小さくする努力をしなければいけない。
交渉で勝つための「必要条件」の洗い出し方
要するに、交渉で勝つためには、まず自分の主張を通すために必要な条件を列挙して、それを一つずつクリアしていくのが得策だということである。数学の証明問題を解くようなもので、まさに「論理力」の基礎になる作業だと言えるだろう。
たとえば、「会社の利益額を増やす」という目標が与えられたとしよう。この場合、「利益額を増やす」ためには、(1)売上高の増加、(2)利益率の向上、の両方、または片方を達成する必要がある。
さらに、(1)売上高の増加を達成するためには、(1)販売量の増加、(2)販売価格の引き上げの両方、または片方の達成が必要である。
(2)利益率の向上を達成するためには、(2)販売価格の引き上げ、(3)原価の削減、の両方、または片方の達成する必要がある。
このように、「会社の利益を増やす」という目標について、論理的に何が必要条件となるかを、「樹形図」のように、具体的な業務命令として実行可能なレベルまで細分化していくことができる。交渉の場面でもこれと同じことをすればよいのだ。
- 作者: 荒井裕樹
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2005/09
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